2022/07/13
2021年1月6日、「選挙は盗まれた」と唱えるトランプの扇動で、新大統領バイデンの就任を阻止しようとする「暴動」が仕組まれたのかどうかを審議する公聴会の7回目。
前回のキャシディ・ハッチンソンによる「爆弾発言」のようなスリルはなかったが、日本時間の7月13日午前2時からはじまった3時間におよぶライブ送信をとうとう最後まで見てしまった。そんじょそこらの映画より面白かったからである。
何年にもわたってトランプ支持の法螺とアジを吹き続けてきたアレック・ジョーンズ、(こっちはもっと本腰の入っている)スティーブ・バノン、ヤバイ世界との関係の深いロジャー・ストーンとマイケル・フリンといったなつかしき「ギャングスター」たちのショットが写ったのでを画面キャプチャーしてみた。
これらの人物が、「襲撃」に対して無反省なのに対して、トランプのSNS操作を最初から受け持ち、大統領当選に「功績」のあったブラッド・パースケールは、委員会のメールでの問いに対して、「後悔」の意を隠さない状態になっているのは興味深かった。彼は、すでにトランプ政権の末期に精神錯乱を起こし、自殺未遂をはかったといわれているから、いまの彼の心境は、当然のなりゆきかもしれない。
なお、このメール表示のすこしまえに出るが、事件当日、「襲撃」の様子をパーティもどきの雰囲気でテレビ視聴していたトランプの隣にいた女性は、予想とおりイヴァンカだった。
何度もいうように、このへんのことは素人のわたしでも想像のつくことで、最初からこの「雑日記」の2020年1月16日号でも書いているが、いまようやく公的なかたちで問題にされるようになったのは、まだアメリカには、希望がある点かもしれない。
A Deck of Cards
極右グループとの関係についての審問は底が浅かったが、喚問された旧関係者の一人が、トランプを支持した極右団体のOath Keeperが、中東で使われた"A Deck of Cards"という戦略の利用していたと証言していたのは興味をひいた。これは、武器や、やっつける「敵」やを兵士たちに印象づけるためにトランプ(ゲームの方)カードを用いる軍事テクニックの1つで、これを議事堂襲撃のまえに作っていたというのだ。
スティーヴ・バノンの今後
すべてを知っているほずのスティーブ・バノンが、キャシディ・ハッチンソンの証言に動揺したこともあり、いまごろになって公聴会のための証言をしてもいいなどという意向をもらしているというニュースが流れた。これは、7月18日に予定されている、彼の証言拒否に由来する裁判で勝ち目がなさそうな気配が濃厚になったためでもある。
しかし、委員会がバノンの召喚に熱心ではないのは、どうせ出てきても本音は話さないだろうという予測と、彼が1月6日襲撃の段階で「民間人」になっていたという点でその責任を追求する法的根拠が弱いという点への意識もある。
そもそも、バノンは、トランプでなくてもいいのであり、本音は、もっと奥の深い陰謀をめざしているから、すでに負け犬の気配が濃厚になりつつあるトランプは捨ててもいいはずである。とすれば、委員会としては、無視する方が得策だということになる。
sail into the sunset
今日の目玉であるはずのパット・シポローネの証言には、ハッとさせられるものはなかったが、ここ数回の公聴会の動向を見ていると、そうでもなさそうな気配を感じる。
損なことはやらないあのイーロン・マスクでさえ、“I don’t hate the man, but it’s time for Trump to hang up his hat & sail into the sunset,”とtwitterに書いたそうだから、まあ、トランプの逮捕もありえるだろう。ちなみに、"sail into the sunset"というのは、映画のエンディングなどで、船が日暮れの地平線に消えていくイメージである。