2018    index

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Twittchan 2.0

Takatsugu_Sasaki 佐々木孝次
@蠱物 まじもの としての言葉 有斐閣

日本語ほど、大昔から、あるものの意味にたんに空虚な場所を指定したまま、それを放置してきた言語は珍しいと思われる。 (p.78)
日本語では「同じ人間」という言葉がどれほど罪責逃れのふやけた決まり文句として利用されているかをよく考えてみるべきだ。 (p.199)
国民はひとりの生きた人間〔天皇〕から、人間という内容をすっかり抜きとって、自分たちの姿を自分たちの目からいつまでも隠そうとしているのである。 (p.215)

竹岡健一 竹岡健一
@第二次世界大戦下のドイツにおける「前線書籍販売」について―研究の意義と観点― かいろす55(1917)◆

「・・ナチス体制下の文学の主流は実は非イデオロギー的な本だったのではないかということ、ナチスの文芸政策は一般に考えられているほどには十分に機能しなかったのではないかということである。」 (p.57)

inoue-takahsi 井上隆史
@対談 佐々木孝次×井上隆史 図書新聞 2017年‘‘月25日号

「・・・あれは日本語では書けなかった。カズオ・イシグロのように、子どものときに日本語の環境にいるのはいいんだけれど、そこからできるだけ早く離れないと、やはり「みかけ」の世界にやられてしまう。カズオ・イシグロはそれを証明したのではないでしょうか。」 (p.8)

jacques derrida ジャック・デリダ
@言葉にのって 林好雄・森本和夫・本間邦雄訳 筑摩書房

「一度たりとも私から離れたことがない夢があるとすれば、それは、日記の形式をとった何かを書くこと・・・つまり、《完全な》日記です。」 (p.26)

asari-makoto 浅利誠
@ジャック・デリダの思い出(三) 三田文学 2017 秋季号

「デリダは、話すように書く、書くように話す、という二つの作業の間の距離をなくしてしまう訓練を重ねたのだと思う。」 (p.286)

yabe-kouji 矢部宏治
@〈特別対談〉これが「日本の現実」だ 田原総一郎×矢部宏治 本 NOVEMBER 2017 講談社

「日本には航空法特例法というものがあり、米軍機は安全基準を守らなくても飛行できることになっている。ですから、米軍住宅の上は飛ばないけれど、日本人の住宅の上はいくらでも低く飛んでもいいという、ものすごくグロテスクな状況が起こっているのです。」 (p.7)

lewis_coser ルイス・L・コーザー
@知識人と社会 高橋徹 監訳 培風館

「エドマンド・ウィルソン・・・のような人たちは、依然として高度に創造的かつ革新的でありうるかもしれない。だが、アメリカでは、革新ですら見事に制度化されて来ており、したがってウィルソンらの同輩の大多数の姿は今日では大学に見ることができるというわけだ。」 (p.303) とは、1965年の記述。はてさていまは?

miran_kundera_1981 ミラン・クンデラ
@小説の技法 西永良成訳 岩波書店

「ドビッシーは死ぬ前にすべての草稿、未完成のままに残したものすべてを破棄した。作者がみずからの作品になしうる最小限の奉仕とは、その周りを掃除しておくことなのだ。」 (p.199) 30年まえにこう書いたクンデラは、いま88歳。そのへん、どうしてるのかな?

jean-francois-lyotard ジャン‐フランソワ・リオタール
@経験の殺戮 絵画によるジャック・モノリ論 横張誠訳 朝日出版社

「ファクト〔傍点〕とは、経験の事象ではなくて、一旦、現実が、知の無限によって傷つけられ、その主観的外観を取り除かれ、認識の諸規則から見てその有効性が立証された時に、現実のうちから残るものなのである。すなわち、人工物〔アーティファクト〕ということだ。」(p.162) だから、「オルタナティヴ・ファクト」なんて驚いてはダメ。

Nancy Seki ナンシー関
@何様のつもり 世界文化社

「「テレビで言ってるんだから信用できる」といったような、テレビに対する盲信は消え、逆に「テレビの中のことは嘘である」という考え方へ転換しつつある。」 (p.124) 初出は、『HOT・DOG・PRESS』 1991年12月25日号。

ernst_gombrich エルンスト・H・ゴンブリッチ
@棒馬考 イメージの読解 二見史郎・谷川渥・横山勝彦訳 勁草書房

「信号は貨車が石炭を運ぶように情報を伝えるわけではない。・・・信号はその選択の可能性によって情報内容をもつ」。 (p.146)

walter_benjamin ワルター・ベンヤミン
@ベンヤミン著作集6 円子修平訳「翻訳者の使命」 晶文社

「翻訳者の使命は、翻訳の言語への志向、翻訳の言語のなかに原作の反響を目覚めさせるあの志向を発見することにある。」 (p.271)

antonin_artaud_middle アントナン・アルトー
@演劇とその形而上学 安堂信也訳 白水社

「俳優の場合は、体が呼吸によって支えられているのに対して、レスリングや肉体的体操の選手の場合は、呼吸が体にささえられている」 (p.224)。

H_S_Enzensberger_old ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー
@冷戦から内戦へ 野村修訳 晶文社

「内戦は外部から来るもの、ウィルスのように持ち込まれるものではない。その過程は内因性の過程である。」 (p.24) 「・・目につくことは、ひとつには、行為者の自己閉鎖的な性格であり、またひとつには、行為者が破壊と自己破壊とのあいだを、区別できないでいることである。」 (p.26)

william_Hartung ウィリアム・D・ハートゥング
@ブッシュの戦争株式会社 杉浦茂樹・池村千秋・小林由香利訳 阪急コミュニケーションズ

「2000年の大統領選は、アメリカ史の分水嶺をなす重大な出来事だった。アメリカはこれを境に、軍と警察がシビリアンコントロールのもとに置かれる共和国から、国の安全保障と大企業の利益が個人の権利より優先される全体主義国家に変貌してしまった。」トランプは、この線を「しっかりと」ひき継いでいるだけである。

peter_w_singer ピーター・W・シンガー
@戦争請負会社 山崎淳訳 NHK出版

「オサマ・ビンラディンがテロリズムを前進させたのは、その民営化であり、それは国家の支援が枯渇した時期にテロ細胞に対して実質上ベンチャー投資家としての役割を果たした。」 (p.116)

carlo_ginzburg カルロ・ギンズブルグ
@糸と痕跡 上村忠男訳 みすず書房

「クラカウアーによると、最良の解決方法はマルク・ブロックが『封建社会』において採用した方法である。すなわち、マイクロヒストリーとマクロヒストリー、クローズアップとロングショット、それも極端に長いショットのあいだをたえず往復することである。」 (p.191)

michael_klare マイケル・T・クレア
@血と油 アメリカの石油獲得戦争 NHK出版

「たいていは文明の相違やアイデンティティの問題ではなく、資源こそが、現代の紛争のおおもとにある」 (p.9)。石油がガスで一息つき(?)、最新の紛争資源はレアメタルかな?

curt_riess クルト・リース
@レコードの文化史 佐藤牧夫訳 音楽之友社

「すでに覚え、演奏し、引用したことのある曲を、注釈であれ、皮肉であれ、音楽的拡大であれ、解釈し変奏し演奏するその瞬間に、ジャズはうまれていく。」 (p.239)

angela_davis アンジェラ・デイヴィス
@監獄ビジネス グローバリズムと産獄複合体 上杉忍訳 岩波書店

「日数、月数、年数などで国家の懲罰が計算されることは、資本主義的商品の価値計算の基礎として労働時間が機能していることと符合している。」 (p.43)

bill_emmott ビル・エモット
@20世紀の教訓から21世紀が見えてくる 鈴木主税訳 草思社

「世界が石油を使いつくしたために石油時代が終わることはないだろう。それが終わりを迎えるのは、新たに安く、より受け入れられるエネルギー源が発見されたり、発明されたりするからだ。」(p.371) とは2003年の予見。 ガスのために石油の需要が減り始めて「別なピークオイル論」が話題だが、遅いんだよ。

norbert_elias ノルベルト・エリアス
@文明化の過程(上) 赤井慧爾・中村元保・吉田正勝訳 法政大学出版局

「ラテン語の食事作法も、英仏独の食事作法も、やたらとつばを吐くことが中世では慣習であるのみならず、一般的欲求でもあったことを明かしている。宮廷騎士時代の上流階級においても、それは全く普通のこととして行われていた。」 (p.317)

david_dickson デイビッド・ディクソン
@オルターナティブ・テクノロジー 技術変革の政治学 田窪雅文訳 時事通信社

「自動車やテレビなどのような消費財は、社会の必要に合わせて作られたというよりは、むしろ、資本主義経済が自らを維持する手段を開発する必要に迫られて生み出したものといえよう。」 (p.72)

charles_bukowski チャールズ・ブコウスキー
@死をポケットに入れて 中川五郎訳 河出書房新社

「過去に自分の読者を喜ばせたものと同じものを書きたがる者もいる。それでそいつらもおしまいになってしまう。」 (p.38)

Duncan Webster ダンカン・ウェブスター
@アメリカを見ろ!〔Looka Yonder! 1988〕 安岡真訳 白水社

sam_shepard 「シェパードの作品の中で、われわれの前に立ちはだかるのは空っぽの地所、空虚な土地である。アメリカ的光景の果たされなかった約束、異性愛の物語〔ナラティヴ〕の崩壊した真理。土地を耕すという人民主義〔ポピュリズム〕の真理と、核家族を中心にしたマチズモとフェミニズムの構築が追い求められ、そして同時に否定される。」 (p.178) 後年俳優の「ふりをした」劇作家サム・シェパードには、そんなアメリカへの「諦め」の影がちらついていた。

jacques_attali_1975 ジャック・アタリ
@告発される医療〔フューチャー・ライフ ミッシェル・サロモン編 辻由美訳 みすず書房所収〕 

「安楽死は、自由の価値としてであれ、ひとつの商品としてであれ、未来の社会の規範のひとつになる」。

bill_emmott ビル・エモット
@20世紀の教訓から21世紀が見えてくる 鈴木主税訳 草思社

「ナショナリズムの色濃い政府、より強力な海軍と空軍、アジア地域における明らかな軍事的プレゼンス、そして、最終的には世論に容認された核の研究と開発。これらはいずれも二十一世紀の最初の数十年間に日本でおこりうることとして考えなければならないのである。」 (p.141) 「数十年」じゃなくて、数年に迫ってきたぞ。

hasumi-shigehiko 蓮實重彦
@ユリイカ 平成29年10月臨時増刊号

「・・・占領軍の兵士に対する軽蔑の念はずっと抱いておりました。将校には多少まともな人間もいたのでしょうが、ジープなどという不快な乗り物を走らせ、ガムなど噛んでいる連中は碌でもない奴らにちがいなかろうと思っていたのです。」 (p.10)

andrew_lang アンドルー・ラング
@書斎 生田幸作訳 白水社

「書物の頁に目を走らせると消え去った過去が甦ってくる。一冊の薄っぺらな八ツ折判本の中に歳月の変遷が刻み込まれており、願望と期待でわななく亡霊が胸の中のいまは禁じられた住家へ再び引き返してくる。」 (p.29)

Klaus_Held クラウス・ヘルト
@地中海哲学紀行〔上〕 ミレトスからペラへ 井上克人・國方栄二・監訳 晃洋書房

「われわれの精神はいまや歴史の蔑視とノスタルジックな骨董的フェティシズムのあいだを揺れ動いている。」 (p.28)

takebayashi-musoan 武林無想庵
@「Cocu」のなげき 記録文化社

「『常識』は横着者の常用するマスクではないか?」 (p.169)

Henri_Bergson アンリ・ベルクソン
@「変化の知覚」(『思想と動くもの』所収) 河野与一訳 岩波書店

「思惟はどんなに抽象的であっても、その出発点はいつも知覚のうちにある」 (p.208)

john_oneill ジョン・オニール
@言語・身体・社会 須田朗・財津理・宮武昭訳 新曜社

「子供が意識的に知っており、大人が無意識的に知っていること、それはわれわれが身体以外の何ものでもないということである。」(p.70)

fale
Daniel_Defoe ダニエル・デフォー
@ロビンソン・クルーソー漂流記 荒正人・山川学而訳 平凡社

「ブラジル人が、たいがいの病気をタバコだけで直していることを、ふと思い出した。・・・まずタバコの葉を取り、口のなかでかんでみた。初めのうちは、もう少しで気絶するところであった。そのタバコがまだ青く、強かったからである。・・・つぎに、タバコの葉をラム酒のなかに一、二時間つけておいて、寝る前に飲むことにした。最後に、私はそれを、炭火にかけた鍋の上であぶってみた。熱いのと、息がつまりそうなのとで我慢のできなくなるまで、私はその煙のそばに鼻を近づけてみた。」(p.109-110)

fale
marita_sturken マリタ・スターケン
@アメリカという記憶 岩崎稔・杉山茂・千田有紀・高橋明史・平山陽洋訳 未来社

「免疫システムを紛争のメタファーで表現することを拒絶し」(p.415)、「免疫システムを記憶や学習、そしてもっと広げて言えば治癒の場所と思いなすこと」(p.416)。

fale
murakami-tomohiko 村上知彦
@坂出達典・著 ビターズ2滴半―村上三郎かく語りき― せせらぎ出版

「村上三郎の息子の知彦です。ぼくが子供の頃・・・三歳位やったらしいですけど、父は六畳二間のひとつをアトリエとして占拠してまして、作品を作り始めるとそこにこもって出てこない。ぼくは遊んでもらいたくて、仕切りになっているフスマを叩いているうちに破ってころげ出してしまった。それを見て「紙破り」を思いついた・・・と父は語っていたそうです。」(p.152)

fale
Hans_Magnus_Enzensberger ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー
@意識産業 石黒英男訳 晶文社

「・・読者にふりあてらる役割は、行動するものの役割ではなくて、傍観するもののそれである。雑誌がやってみせる覗き見と暴露が、読者を覗き屋〔ヴォワユール〕にしてしまう。」(p.113)

fale
Gary Marcus ゲアリー・マーカス
@心を生みだす遺伝子 大隅典子訳 岩波書店

「赤ん坊はどんな瞬間でも、主に「今、ここ」を見渡し、周囲で最も面白い刺激に注目して何をするかを決めているようである。」(p.24)

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otsu-ichi 乙一
@きみにしか聞こえない 角川書店

「電話の向こうにいる女の子は、まるで弱弱しげな声で、自分の押した電話番号が、未来にいる自分自身への番号であることに気付いていない。」(p.60)

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chris_hedges クリス・ヘッジズ
@本当の戦争 伏見威蕃訳 集英社

「PTSD〔心的外傷後ストレス障害〕が進むと、嗅覚が弱まる。新しい言葉を学ぶのに苦労する。ありもしない物音が聞こえる。頭の中で声が聞こえるという幻聴が起きる。」(p.195)

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hisao-juran 久生十蘭
@「予言」 久生十蘭短編選 川崎賢子編

「外国船の生活は一人で孤独を楽しむようなことは絶対に許さない念入りの仕組になっている」(p.39)。

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kevin kelly ケヴィン・ケリー
@「複雑系」を超えて 服部桂監修 福岡洋一・横山亮訳 アスキー出版社

「「計算機」〔コンピュータ〕と呼ぶのは適当ではない。本当は「接続機」〔コネクター〕と呼ぶべきなのだ。」(p.290)

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russel_shorto ラッセル・ショート
@デカルトの骨 死後の伝記 松田和也訳 青土社

「カントは引きこもりの小鼠(ネズミ)のような男で、プロイセンの故郷の街から百マイル以上離れたことはない。」(p.135) 小ネズミじゃなくて、大ネズミかも?

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ted_chiang テッド・チャン
@理解〔あなたの人生の物語所収〕 浅倉久志訳 早川書房

「たぶんその背後にはヴィデオカメラがあるのだろう。録画にかかっているかもしれないから、それに笑顔をむけて、ちょっと手をふってみせる。現金自動支払機の隠しカメラに対しても、わたしはいつもそうしている。」(p.65)

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Gregory_Stock グレゴリー・ストック
@それでもヒトは人体を改変する 垂水雄二訳 早川書房

「唾液ないし血液を一滴塗付けるだけでDNA塩基配列を読み取れるほど十分に信頼性のある検査法ができるのは、ほとんどまちがいないだろう。」(p.68) とは2002年の予言。いまでは、切手を舐めて貼るのも要注意。

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russell_baker ラッセル・ベイカー
@怒る楽しみ 新庄哲夫訳 河出書房新社

「彼が権力を握ったのは、もしかすると名前の綴りがわりあい簡単だったからかもしれない。」(p.124) とNYタイムズの辛辣なコラムニストが言ったのはソ連のアンドロポフのことだった。生きていたらトランプについて何と言うだろう?

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Yuji-Takahashi 高橋悠治
@音の静寂 静寂の音 平凡社

「ピアノという最もヨーロッパ的な楽器を弾くこと、それを鍵盤上の手の舞いとして、創りなおすことができるだろうか。」
「ユダヤ教会、ビザンティン教会でも楽譜は声の抑揚をしめす手のうごきからつくられたという。」(p.227)

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Georges_Perec ジョルジュ・ペレック
@考える/分類する 日常生活の社会学 阪上脩訳 法政大学出版局

「ルイ十四世は腰掛け式便器にすわって人を引見した。それはその時代にはまったく普通のことであった。」(p.95)

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Henry_Miller_Paris ヘンリー・ミラー
@南回帰線 大久保康夫訳 河出書房新社

「私を生んだ母は、数多くの街角を通りながら、だれに声をかけられても一言も答えなかった。しかし、彼女は最後に自分をさらけ出した―私がその答えだったわけである。」(p.134)

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gilbert_adair ギルバート・アデア
@作者の死 高儀進訳 早川書房

「実際、私にとって英語は、以前から、嘘をつくための言語、過去を抹消し葬り去ろうとして使ってきた言語だ」(p.50)。

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Frederic_Pages フレデリック・パジェス
@哲学者は午後五時に外出する 加賀野井秀一訳 夏目書房

「イェニー・マルクスによれば、彼女の夫は意図的に「膨大な歴史的資料をつけ加えることにした。・・・ドイツ人は分厚い本しか信じないから」」(p.232)。

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yoshiyuki-junnosuke 吉行淳之介
@軽薄派の発想 芳賀書店

ミラーは七十歳の今日まで、爆発しつづけている。自分自身が破壊するには、逞しすぎ、また彼の内部にはきわめて沢山の部屋がある。」(p.29)

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Mircea_Eliade ミルチャ・エリアーデ
@妖精たちの夜(1)  住谷春也訳 作品社

「わたしの知った哲学者――じかに知ったという意味だが――の中で一番深遠なのは、かかりつけの歯科医、ドクター・ザンフィレスクですね。神経を抜いた後でこう言いました。『たいしたことはありませんよ。これからは死んだ骨を一本身に着けているだけです』。」(p.79)

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hirakawa-sukehiuro 平川祐弘
@進歩がまだ希望であった頃 新潮社 1984年

「合衆国は憲法修正第一条の文言にもかかわらず、実質においては政教未分離の国ではないのか。」(p.78) 23年まえには批判として読んだが、わしの誤読だったらしい。

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かもよしひさ かもよしひさ
@雑兵物語 講談社

「負傷したときの心得」「傷口が痛むときは自分の小便を/飲め/小便をあたためて傷口を洗って/もよい。」(p.128)

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pierre_bayard ピエール・バイヤール
@読んでいない本について堂々と語る方法 大浦康介訳 筑摩書房

「われわれは、多かれ少なかれ、本の一部分しか読まないし、その部分にしても、遅かれ早かれ、時間がたてば消え去る運命にある。」(p.67)

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baba-kocho 馬場胡蝶
@明治の東京 中央公論社

「その時分〔明治25年ごろ〕には、住宅難どころではなく、家主難ぐらゐなものであったのである。借家住宅ならば、山手などにはどこにでもあったといってよかった。」(p.116)

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Italo_Calvino イタロ・カルヴィーノ
@マルコポーロの見えない都市 米川良夫訳 河出書房新社

「発信する人はいてもだれが受け取るか知らない信号などから成り立つ完全な都市」(p.224)。

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simon-Leys シモン・ルイス
@ナポレオンの死 堀茂樹訳 東京創元社

「要件にかかわりのない細部には無関心でいる能力――天才的人物の特徴。」(p.109) 細部にしか関心のない「天才」もいるよ。

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murai gensai 村井弦斎
@食道楽(上) 岩波書店

「野蛮の世には何事も秘伝多し。秘伝は文明の大禁物。」(p.79)

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jeremy_macclancy ジェレミー・マクランシー
@世界を食いつくす 管啓次郎訳 筑摩書房

「今日、エスニック料理あるいは地方料理を味わう西洋人は」「「他者」を食べることによって、かれらは「自己」を再定義する」(p.370)。

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maryanne_wolf メアリアン・ウルフ
@プルーストとイカ 読書は脳をどのように変えるのか? 小松淳子訳 インターシフト

「ディスレクシア〔読字障害〕は、脳がそもそも、文字を読むように配線されてはいなかったことを示す最もよい、最もわかりやすい証拠である。」(p.315) だから、手が要るのさ。

fale
David_Rieff デイヴィッド・リーフ
@死の海を泳いで 上岡伸雄訳 岩波書店

「母〔スーザン・ソンタグ〕の評論「隠喩としての病」は、かなりの部分において、病との闘いを軍事的な比喩で語ることへの非難」(p.60)。

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Andre Gorz アンドレ・ゴルツ
@裏切者 権寧訳 紀伊国屋書店

「〈他者〉になるため、自分自身と縁を切るために、彼〔若き日のサルト〕は書いていた。」(p.172)

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nakajima ramo 中島らも
@今夜、すべてのバーで 講談社

「「教養」とは学歴のことではなく、「一人で時間をつぶせる技術」のことでもある。」(p.132)

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jonathan_d_moreno ジョナサン・D・モノレ
@操作される脳 久保田競・監訳 アスキー・メディアワークス

「「mind(心)」は動詞としては使えるが・・・「brain(脳)」は動詞としては使えない」(p.173)。

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jean_des_cars ジャン・デ・カール
@狂王ルートヴィヒ 夢の王国の黄昏 三保元訳 中央公論社

〔ルートヴィヒにとって〕「日記はあらゆる種類の葛藤の場であり、次々と誓いをたててはそれを破ることを繰り返す場でもあった。」(p.199)

fale
Jean-Claude-Schmitt ジャン=クロード・シュミット
@中世の身ぶり 杉村剛訳 みすず書房

「音楽(ムジカ)は当時、われわれが今日精密科学と呼ぶだろうものであった。」(p.53)

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alain_de_botton アラン・ド・ボトン
@プルーストによる人生改善法 畔柳和代訳 白水社

「就寝は朝七時で、起床は午後四時か五時。」(p.77)

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Bernard_Rudofsky バーナード・ルドフスキー
@さあ横になって食べよう 多田道太郎監修・奥野卓司訳 鹿島出版会

「日本では家自体がおおきなベッドである」(p.175)。

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matsumoto-seicho 松本清張
@岡倉天心 その内なる敵 河出書房新社

「九鬼公使夫人波津子の動静を伝える当時〔1885年〕の米紙の記事がある。これは『「いき」の構造』で知られる九鬼周造が母波津子の想い出のために丹念に集めて保存しておいたもので、神戸の甲南大学文学部の所蔵である。」(p.45) このことは、清張の貴重な発見。岡倉と母との関係を婉曲的に描いた九鬼の「岡倉覚三氏の思出」にも出てこない。

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Richard Florida リチャード・フロリダ
@クリエイティヴ・クラスの世紀 井口典夫訳 ダイアモンド社

「近代以降初めて――おそらくアメリカの歴史上でも初めて――世界の一流の科学者や知識人が、アメリカに行かない、という選択をしている」 (p.150) と書かれたのは2005年。「ブッシュすらよく見える」トランプの時代ならなおさら。

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John Gray ジョン・グレイ
@わらの犬 地球に君臨する人間 池央耿訳 みすず書房

「技術はだれの意志にもしたがわない。ならば、手なずける考えは捨てて、技術と戯れたらいいではないか。」(p.206)

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tanaka-daisuke 田中大介
@「デス・ワークに向き合う」 現代思想 2017-7 青土社

〔東日本大震災の現場に〕「瞬く間にあらわれた、あの莫大な数の棺は一体どこからやってきたのか。」(p.246)

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david_lodge デイヴィッド・ロッジ
@ベイツ教授の受難 高儀進訳 白水社

「盲目は悲劇的だが、失聴は喜劇的だ。オイディプスを例にとろう。彼が自分の目をえぐる代わりに鼓膜を破ったとしてみよう。」「おそらく同情心は掻き立てるだろうが、恐怖心は掻き立てないだろう。」(p.19) アイロニカルな小説の原題はDeath Sentence(死刑宣告)をもじったDeaf Sentence(失聴宣告)。

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Niklas_Lumann ニクラス・ルーマン
@マスメディアのリアリティ 林香里訳 木鐸社

「マスメディアは真実/非真実というコードには従わず、その認知的なプログラムの領域においてでさえ、インフォメーション/非インフォメーションのコードに従っている。」(p.60) なぜなら、「高見の見物人」の創造こそがマスメディアの機能だから。

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susan_buckmorss スーザン・バック-モース
@夢の世界とカタストロフィ 東西における大衆ユートピアの消滅 堀江則雄訳 岩波書店

「ベンヤミンは、「われわれは、親たちの世界から目覚めなければならない」と主張した。しかしながら、親が一度も夢を見たことがないとするなら、新しい世代に何が要求できるだろうか?」(p.261)。

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Hermann_Broch ヘルマン・ブロッホ
@ウェルギリウスの死 川村二郎訳 集英社

「青春時代のかずかずのおもかげに覆われて最初からあたえられていなかったものは、何ひとつとして人間の手にとらえられることはできない。」(p.29)

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achille_lushaire アシル・リュシェール
@フランス中世の社会 フィリップ=オーギュストの時代 木村尚三郎監訳 東京書籍

「中世における本当の宗教は何であったか、そこのところをはっきり知る必要がある。それは聖遺物〔諸聖人の遺物やキリストあるいは聖母マリアが手を触れたとされるもの等々〕への信仰であった。」(p.47)

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Minakami_Takitaro 水上滝太郎
@銀座復興 他三篇 岩波書店

「豪放磊落(ごうほうらいらく)小事に拘泥しないと云う型の流行った明治初年」(p.33)。いまでもたまにいるな。

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takebayashi-musoan 武林無想庵
@無想庵物語・イヴォンヌ 記録文化社

「この世の中は生きるだけの価値がない。したがって死ぬだけの価値もない。」(p.251)

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Catherine_Malabou カトリーヌ・マラブー
@わたしたちの脳をどうするか ニューロサイエンスとグローバル資本主義 桑田光平・増田文一朗訳 春秋社

「脳はみずからに従わないということを考慮しなければならない。」(p.136)

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paul_valery ポール・ヴァレリー
@「身体に関する素朴な考察」(清水徹訳) ヴァレリー全集9 哲学論考 筑摩書房

「一般的にいって私の右手は私の左手を知らないのであって、その一方をもう一方で掴むとは、非-私である物体を掴むことなのだ。」(p.197)

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murakami yasuhiko 村上靖彦
@自閉症の現象学 勁草書房

「対象性の本質は目に見えることではない。「見え」を超える恒常性を設置することである。」(p.91)

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ozaki-shiro 尾崎士郎
@蜜柑の皮 尾崎士郎短編集 紅野謙介編 岩波書店

「じっとして蜜柑の皮をみつめていると〔死刑囚の〕無数の悲鳴が何処からともなく聞こえてくるような気がいたしました。」(p.51)

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norbert_bolz ノルベルト・ボルツ
@人間とは何か その誕生からネット化社会まで 〔アンドレアス・ミュンケルとの共編〕 壽福眞美訳 法政大学出版局

「飛行機が可能になったのは、鳥の模倣を止めたときだった・・・ロボットが可能になるのは、人間の模倣を止めるときだ」(p.243)。

fale
umberto_eco ウンベルト・エーコ
@もうすぐ絶滅するという紙の書物について〔ジャン=クロード・カリエールとの対話〕 工藤妙子訳 阪急コミュニケーションズ

「ライプニッツにとって書棚の整理とは、知識を整理するのと同じことだった。」(p.415)

fale
Michel de Montaigne ミシェル・ド・モンテーニュ
@モンテーニュ旅日記 白水社 関根秀雄・斎藤広信訳

「この日わたしは、一人で、気晴らしのつもりで、望めば誰とでも会ってくれる女たちの許へ行った。」(p.240)

fale
Gustav René Hocke グスタフ・ルネ・ホッケ
@迷宮としての世界 マニエリスム美術 上 岩波書店

「一面では地上の神 (Deus in terris) でありながら、他面では無力のうちにある人間。」(p.116)

fale
George Steiner ジョージ・スタイナー
@ヒトラーの弁明 サンクリストバルへのA・Hの移送 三交社

南米のジャングルで生き延びた老「ヒトラー」はうそぶく――「私の人種主義は、君たちの人種主義のパロディだ、飢えた物真似だよ。シオンの永遠に比べればわれわれの千年王国が何だ? おそらく私は、あらかじめ送られた偽のメシアだったのだ。私を裁くなら、君たちは君たち自身を裁かなければならない」(p.218)。

fale
John-Landis ジョン・ランディス
@『ブルース・ブラザース』(1980)
(「イリノイ・ナチ」のシーン)

ロシア問題以前にチェックメイトだな。トランプは、70~80年代のニューヨークで暮らしながら、地上げに忙しく、大ヒットの『ブルース・ブラザース』すら見てなかったんだろう。が、James Fields は見ていて、逆に利用した。

fale
takebayashi-musoan 武林無想庵
@むそうあん物語 別冊 武林無想庵追悼録(市川廣康編) 無想庵の会

盲目になった無想庵のテキストは、婦人の朝子さんが口述筆記した。晩年には寝たきりで、口述した(本書に写真がある)が、ある意味、無想庵は、一生寝転んで語りのパフォーマンスをしていたのだ。だから、寝て読むと、そのその超イマ性がわかる。

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richard-sennett リチャード・セネット
@嘘とは何だろうか 或る寓話小説 晶文社

「権力を変化せしめうる方法は、ローマの場合と同様、圧制者たちが自分のしていることの滑稽さに、気づくこと以外にない」(p.247)。邦題は本書の現在的有効性と屈折(作者のカミングアウト)を見過ごさせる。

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mishima-yukio_st 三島由紀夫
@絹と明察 新潮社

「駒沢の考える家族とは、愛などを要せずに、そこに既に在るものだった」(p.258)――という異議は、「家族」を越えるしかないが、三島は「家族」を越えることはできなかった。

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graham-greene グレアム・グリーン
@ヒューマン・ファクター 宇野利泰訳 早川書房

「〝しかし〟の連続から解放されて、のびのびと暮らす日が、いつ訪れてくるものか」(p.209) と主人公カースルは自問する。俺は、「しかし」より、「でも・・」かな。

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sakaguchi-ango_by-HT 坂口安吾
@安吾史譚 河出書房新社

「講談の語り方、私がみてきたことだから信用しなさい、という語り方」(p.187) って、いまでも有効。

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suzuki-shirouyasu_2014 鈴木志郎康
@とんがりぼう、ウフフっちゃ。 書肆山田

鈴木さんの新詩集の発音を聴きたいという(日本語の読めない)ドイツの友人のために、「改稿 俺っち日本人だっちゃ」(p.206-215) をスキャンして、Google Translationで読ませてみた。誤読はあるが、「~っちゃ」言葉をちゃんと読むじゃないか。

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takebayashi-musoan 武林無想庵
@むそうあん物語 45分冊 無想庵の会

いま一番「共振」できる「独語」(ひとりごと)作家。むかし、武林朝子さんに会ったことがある。

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