「シネマノート」  「雑日記」


2009年 11月 03日

●ハッキントッシュ・プロジェクト

最初は、事務仕事の疲れをいやすために始めたのだが、いまごろになってMacにはまっている。Macといっても純正のあのリンゴマークのコンピュータではない。本来はWindows用のAT互換機にOSXをのせた「OSx86」通称「Hackintosh」というやつだ。
まえにも書いたように、その試みは以前にも何度か試みが、ほとんど使いものにはならなかった。が、昨年ぐらいから、ハンガリーのグループが開発したブートローダー「Chameleon」のおかげで、互換機にちゃんとOSXがのるようになった。
そういう作業を「Macintosh」にひっかけて「Hackintosh」というが、その場合の「hack」は、コンピュータの内部に立ち入ることであり、いまでいう「ハッカー」とは意味が違う。ちなみに、LinuxのまえのUNIXの時代には、コンピュータに強い人間を「ハッカー」と言った。そういうなかから、ネットなどに悪さをする者が出て来て、それが主要な意味になった。
ハッキントッシュの話題が沸騰してきたので、一月ほどまえ、自作のコンピュータ(それまで「Windows 7」のRC=最終テストヴァージョンを入れてつかっていたやつ)に、別のハードディスクをつけかえて、インストールを試みてみた。以前の苦労などどこへ行ったというほど簡単にインストールが済み、純正のMacと同じ画面が出現した。機能も大丈夫そうだ。Mac用のアプリケーションをいくつかインストールしてみると、ちゃんと動く。スピードも、安い純正Macなどよりずっと速い。発売が始まって「軽い」と評判の「Windows 7」も勝ち目はない。
なによりもいいのは、わたしがかつて愛用していたNeXTstepに使い勝手が非常に似ている点だ。おいおい、MacがOSXになってからもう大分たつんだから、いまさらそんなことを言うなよと言われそうだし、OSXは、NeXTと兄弟関係にあるわけだから、それはあたりまえだが、わたしにNeXTを思い出させた一番のことは、画面がすべて英語のままで、日本語が使えるという点である。大学にはMacがあり、たまに使うこともあったが、画面が日本語表示になっているので、このことに気づかなかった。それにしても、Macですら、日本語表記にすると画面が美しくなくなるのはなぜだろう?

しかし、しばらく、あれこれ試してみて、はたと重大な困難に行き当たった。それは、DVDが再生できないということである。VLCプレイヤーなら大丈夫と書いている人がいて、やってみたが、ダメ。グラフィックカードも交換してみた。
リンゴマークをクリックして「About This Mac」という項目で見える「Graphic/Displays」の欄の「Quartz Extreme」は、案の定、「Not Supported」のままになっている。こうなっているかぎり、その機械ではDVDの再生が出来ないのである。では、どうすれば、これを「Supported」(正常なMacではそうなっている)にするのか?
ハッキントッシュが加熱するなかで、そういうことに関心のある者たちが集まる「InsanelyMac」というサイトが出来上がって大分たつが、OSx86の問題の検索をたどって行くと、大体このサイトに行く着く。そして、そこに大抵の難問の答えがある。わたしも、早速このフォーラムのメンバーにくわわることにして、書き込みを調べてみた。しかし、猛烈な書き込みがあるわりには、「Quartz Extreme: Not Supported」問題の答えは出てこない。
こういうことばかりやってはいられないから、しばらく間が空き、また気晴らしにハキントッシュに戻ったある日、たまたまDenseというハンドネームの人物が、グラフィックカードをコントロールするプログラムファイル(NVinject.kext)のなかをちょっと書き直すだけで、解決するということを書いているのを発見した。
それまでも、いくつかのプログラムファイルを書き直したりもし、そのために動かなくなってインストールしなおしという憂き目にも遭ったのだったが、今回は、それが一発で解決してしまった。世の中には偉い人物がいる者である。すぐにお礼の書き込みをしたら、本人からは何の反応もなかったが、イタリア人らしい人から、「俺も同じことをやったがうまくいかなかった」という書き込みが入った。それは、ドラッグ&ドロップのファイル操作ではなく、コマンドラインでやることが秘訣なので、そのことを早速書いたがその人は問題解決しただろうか?
そんなわけで、いまや、わたしの自作互換機は、純正Macの「高級機」と同等の性能を発揮するにいたった。コンピュータというのは、Windowsだけ、Linuxだけ、Macだけというのは無理で、それぞれの利便を活かしてマルチで使うのがいいことは重々わかってはいるが、こうなると、このハッキントッシュMac機だけでコンピュータ作業のどこまでできるかを試してみたくなる。
http://www.insanelymac.com/